仕事のストレスや人間関係の悪化、過重労働などが原因で「もう会社に行きたくない」「今すぐに辞めたい」と感じる人も少なくありません。しかし、実際に即日で退職することはできるのでしょうか?今回は、即日退職の可否や法律上のルールについて詳しく解説します。
雇用契約の終了パターンを3つに大別
雇用契約の終了には、いくつかのパターンがありますが、大きく3つに分けることができます。これらのパターンを理解しておくことで、即日退職が可能かどうかを判断する際の参考になります。
合意退職
合意退職とは、労働者と会社が互いに合意して雇用契約を終了させる方法です。これは、最も円満かつスムーズな退職方法と言えます。労働者が退職の意思を示し、会社がそれを承諾することで、即日であっても退職が成立します。ただし、会社側が合意しなければ即日退職は難しくなります。
辞職
辞職は、労働者が一方的に雇用契約を解除する方法です。民法では、雇用契約を解除するためには、少なくとも2週間前に退職の意思を伝える必要があるとされています。したがって、即日退職を希望しても、原則として法律上はすぐに辞められるわけではありません。
解雇
解雇は、会社が労働者に対して一方的に雇用契約を終了させる方法です。解雇には法的な制約が多く、正当な理由が必要です。突然の解雇は原則として違法であり、会社側は労働基準法に従って、少なくとも30日前に解雇の通知をしなければなりません。また、30日分の給与を支払うことで、即日の解雇が認められる場合もあります。
「即日退職」は会社の合意が必要
即日退職を希望する場合、最もスムーズな方法は「会社の合意」を得ることです。労働者が退職の意思を示し、会社がその意思に同意すれば、即日で退職が成立します。しかし、ここで問題となるのは、会社が即日退職に合意しない場合です。
会社としては、急な退職によって業務に支障が出ることを避けたいという理由から、即日退職を拒否するケースが多いです。そのため、即日退職を希望する場合でも、会社との話し合いが重要になります。円満な退職を目指すためにも、誠実な姿勢で退職の理由を説明し、できる限り協力的な対応を求めることが必要です。
「即日退職」ができると思った困った例
「即日退職」は必ずしも簡単に実現できるわけではなく、実際に「即日で辞められる」と思い込んで問題が発生するケースもあります。例えば、次のような事例が報告されています。
例1: 退職の意思表示をLINEで送信
ある労働者が「もう会社に行けない」と感じ、LINEで上司に「今日で辞めます」と送信しました。しかし、会社側はその意思表示を正式な手続きとは認めず、欠勤扱いに。最終的には無断欠勤が続いたことで懲戒処分の対象になったケースです。退職の意思を伝える際は、正式な書面や対面での手続きを踏む必要があります。
例2: 口頭で即日退職を申し出たが拒否された
別のケースでは、ある労働者が口頭で「今日で辞めます」と即日退職を申し出ましたが、会社から拒否されました。その結果、退職を引き延ばされ、精神的な負担が増大。最終的には体調を崩し、会社とのトラブルに発展してしまった事例です。即日退職を希望する場合、法律や就業規則に基づいた適切な対応が求められます。
「即日退職」に会社が合意しない場合はやめられないのか?
会社が即日退職に合意しない場合、労働者はその意思を無視されることがあるのか?という疑問が生じます。法律上、労働者は辞職の意思を会社に伝えるだけで退職する権利を持っています。しかし、その意思を伝えてから2週間経過しない限り、雇用契約は解消されません。
即日退職を強行するリスク
もし、会社の合意が得られないまま即日退職を強行した場合、無断欠勤として扱われる可能性があります。無断欠勤が続くと、会社側から懲戒処分を受ける可能性があるため、注意が必要です。また、給与や退職金の支払いが遅延したり、トラブルが発生することも考えられます。
会社から籍を抜くのは2週間後、でも出社しない
法律上、労働者が退職の意思を会社に伝えてから2週間が経過すると、雇用契約は自動的に終了します。しかし、退職までの2週間、精神的な負担や職場環境の悪化から「もう出社できない」と感じる場合もあります。このような状況では、会社との話し合いを通じて出社を免除してもらうか、医師の診断書を提出して休職するという選択肢もあります。
休職の選択肢
精神的な理由で出社できない場合は、医師の診断書をもとに休職を申し出ることが有効です。休職期間中は、労働者としての義務は免除されますが、その間に退職手続きを進めることが可能です。また、休職期間中に治療や療養を行い、心身の健康を取り戻すことも考えられます。
有給休暇の取得
有給休暇が残っていないとこの方法は取れませんが、通常、心身が健康であれば、有給休暇を取ることで対象kを申し出た翌日から出社しないようにできます。ただし、突然出社しなくなった場合、引き継ぎ等の問題が生じ、会社から損害賠償請求される可能性は否定できないので注意が必要です。
出社せずに退職手続きを進める
会社と話し合いを行い、出社せずに在宅で退職手続きを進めることも可能です。例えば、引き継ぎ資料をメールで送信したり、必要な書類を郵送でやり取りするなど、できる限り柔軟な方法で対応することができます。会社とのコミュニケーションをしっかりと取ることで、出社しなくても円満に退職を進めることができる場合もあります。
まとめ
「もう会社に行けない」「即日で辞めたい」と思った時、法律や会社の就業規則に従いながら、最適な退職手続きを取ることが重要です。即日退職は原則として会社の合意が必要ですが、2週間の猶予を持って退職の意思を伝えれば、法的に辞める権利を持っています。
しかし、即日退職を強行することで、無断欠勤やトラブルが発生するリスクもあるため、慎重な対応が求められます。出社できない場合には、会社との話し合いや休職を利用して、円満に退職できる道を探ることが大切です。
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