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Q8 契約社員や年俸制社員は申し出から2週間でやめられる?

労働者が退職を考える際、「申し出から2週間で辞められる」というルールは多くの人が知っているでしょう。しかし、雇用形態が年俸制や契約社員の場合、そのルールが適用されるのか、または特別な手続きや条件があるのかについては疑問に思う方も多いかもしれません。ここでは、年俸制や契約社員に関する退職のルールについて詳しく説明し、退職における法律や最新の改定も交えながら解説します。

目次

年俸制の場合のルール

まず、年俸制の労働者が退職する場合について考えてみましょう。年俸制とは、1年間に支払われる総額の給与があらかじめ決まっている給与体系で、通常はその金額を月々に分割して支給されます。経営職や専門職など、特殊な職種に適用されることが多い給与体系ですが、退職時には他の労働者と同じように一定のルールが適用されます。

退職の基本ルール

年俸制であっても、民法に基づく退職に関する基本的なルールは他の給与形態の労働者と同じです。民法627条によれば、期間の定めのない労働契約においては、労働者が退職の意思を会社に伝えてから2週間後に退職することができます。これは、特別な理由がない限り、年俸制の労働者も同様に適用されるルールです。

ただし、年俸制の場合、給与が1年間を基準に支給されているため、退職時にどのように年俸が計算されるかがポイントになります。通常は、その年の労働分に応じて日割り計算され、退職時の給与として支払われます。また、退職金の支払いについては、雇用契約書や会社の就業規則に基づいて異なる場合があるため、確認が必要です。

業務引き継ぎの重要性

年俸制の労働者は、経営職やプロジェクトリーダーなど重要な役職を担っていることが多いため、業務の引き継ぎやプロジェクトの完了に時間がかかることが一般的です。2週間の期間内で引き継ぎが完了しない場合も考慮して、早めに退職の意思を伝えることが推奨されます。特に、会社の経営に関わる重要な役割を担っている場合、退職手続きを進める際に、会社と円滑なコミュニケーションを取ることが大切です。

完全月給制の場合のルール

次に、完全月給制の場合について見ていきましょう。月給制は、労働者が毎月一定額の給与を受け取る給与体系です。多くの企業で採用されており、正社員やパートタイム社員など幅広い雇用形態に適用されます。

退職の申し出と2週間ルール

完全月給制の労働者も、退職の意思を会社に伝えてから2週間後に退職することができます。このルールは民法によって定められており、労働者が一方的に退職を申し出た場合でも、2週間後には雇用契約が終了することが保証されています。

ただし、月給制の場合は、給与の支払いサイクルに影響を受けることがあります。たとえば、給与の締め日や支払日が月の途中である場合、退職時にはその月の労働分が日割りで計算されることが一般的です。また、会社の就業規則や労働契約によっては、月末までの勤務を求められることもあるため、事前に確認しておくことが必要です。

有給休暇の取り扱い

退職時に残っている有給休暇の消化についても、月給制の労働者は特に注意が必要です。退職までの期間中に有給休暇を消化する場合、残りの勤務日数や業務の引き継ぎを考慮しながらスケジュールを調整する必要があります。会社によっては、有給休暇の消化に関するルールが異なるため、事前に確認し、円滑な退職手続きを進めましょう。

2020年4月1日改定のルール

2020年4月1日に施行された法改正は、労働者の権利を強化し、退職に関するルールも一部変更されました。特に、非正規労働者や契約社員の取り扱いに影響を与え、労働者がより柔軟に退職できるようにしています。

有期雇用契約の無期転換ルール

この改定では、有期雇用契約の労働者に対して無期転換ルールが導入されました。有期雇用契約が通算5年を超える場合、労働者は無期雇用契約への転換を申し出ることができます。これにより、長期的に契約を更新し続ける労働者が、雇用の安定性を確保できるようになりました。

無期転換後は、基本的に期間の定めのない雇用契約と同じ扱いになります。そのため、無期転換後の労働者も、退職の申し出から2週間で辞めることが可能です。ただし、会社との契約条件に基づく取り決めが異なる場合もあるため、契約内容を確認することが重要です。

ハラスメント防止策の強化

2020年の法改正では、労働者が退職時に不当な圧力を受けることがないように、ハラスメント防止策も強化されました。これにより、上司や同僚からのパワーハラスメントや圧力に対して適切な対応が取られることが期待されています。特に、退職の意思を表明する際に圧力を感じる場合には、法的なサポートを受けることも検討しましょう。

有期雇用の場合のルール

最後に、有期雇用契約の場合の退職ルールについて説明します。有期雇用契約は、あらかじめ契約期間が定められている労働契約で、契約満了時に更新されるかどうかが決まることが一般的です。退職の意思を伝えるタイミングや手続きについても、有期雇用ならではのルールがあります。

契約期間中の退職

雇用期間が定められている場合は、その長さによってルールが変わってきます。

まずは雇用期間が1年を超えるときには働き始めて一年を経過した際にはいつでも退職できるとなっています(労働基準法137条・一部例外あり)。
また契約期間が1年以内で定められていて、契約期間が自動更新とされた場合はいつでも退職が可能となっています(民法629条)。

1年以下の雇用期間契約で自動更新されていない場合は「やむを得ない事由」があるときに限り直ちに退職が可能です(民法628条)。

  • 健康上の理由で業務を続けることが困難な場合
  • 契約内容や労働条件に重大な変更があった場合
  • 会社側が契約違反をしている場合(例:給与未払いなど)

これらの例外に該当する場合には、労働者は契約期間中であっても退職を申し出ることができ、会社側はこれに応じる必要があります。

契約満了時の退職

有期雇用契約が満了する際には、労働者は契約を更新せずに退職することができます。この場合、通常は契約満了の1カ月前までに退職の意思を伝えることが一般的です。退職の意思を伝えるタイミングが遅れると、会社側が引き続き労働契約を更新する意向を持っている場合、トラブルの原因になる可能性がありますので、事前にスケジュールを確認し、余裕を持って意思を表明らかにしましょう。

契約更新を拒否する際のポイント

有期雇用契約では、労働者が契約更新を希望しない場合、契約満了の少なくとも1カ月前までに通知することが推奨されます。これは、会社側が後任者の手配や業務の引き継ぎをスムーズに進めるための期間を確保するためです。退職の意思を明確に伝えることで、労働者側も契約更新のトラブルを回避することができるでしょう。

なお、契約更新を拒否する際には、文書で通知することが望ましいです。口頭での通知だけでは意思表示の証拠が残らないため、後々のトラブル防止に役立ちます。

契約違反がある場合の対応

有期雇用契約期間中に会社側が契約条件を守らない場合、たとえば給与の未払い、勤務時間の大幅な変更、労働環境の悪化などが発生した場合は、労働者側は退職の権利を行使することができます。この場合は、契約期間に関係なく退職できる可能性がありますが、法的な根拠や証拠が重要です。トラブルを避けるためにも、会社とのやり取りは記録に残し、必要に応じて労働基準監督署や弁護士に相談することを検討しましょう。


まとめ

年俸制、完全月給制、そして有期雇用契約における退職に関するルールは、基本的には民法に基づいた2週間ルールが適用されますが、給与形態や契約形態に応じて、細かい違いや注意点が存在します。

年俸制では、1年間を基準にした給与が支払われるため、退職時の給与の計算方法に特別な配慮が必要です。また、業務の重要性から、円滑な引き継ぎを進めるために早めの退職意思表明が求められます。

完全月給制の場合も2週間ルールが適用されますが、給与の締め日や有給休暇の消化について事前に確認し、円滑に退職手続きを進めることが大切です。

2020年の法改正により、有期雇用契約に対して無期転換ルールが導入され、長期間契約を更新し続けた労働者は無期雇用契約へと転換できる権利を持つようになりました。また、ハラスメント防止策も強化され、退職時における不当な圧力から労働者を保護する環境が整備されています。

有期雇用契約では、基本的に契約期間中の退職は難しいものの、特定の条件下では退職が認められるケースもあります。契約満了時には更新の意思がない場合、事前に退職の意思を伝えることが重要です。

いずれの雇用形態であっても、労働者の権利を守るためには、自身の雇用契約や就業規則をしっかりと確認し、法的なサポートを得ることが肝心です。特にトラブルが発生した際には、適切な相談窓口を利用して、自身の権利を守るための行動を取ることが重要です。

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