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Q16 長年勤めたのに退職金が出ない?!抗議すれば出るのか?

「長年、会社のために尽くしてきたのに、退職金がもらえないなんて…」

長年勤めた会社を退職する際、まとまった金額が支給されることを期待していたのに、いざ手続きに入ってみると「退職金は出ません」と言われて愕然とした経験はありませんか?長年の貢献が報われないと感じ、納得がいかない気持ちでいっぱいになるのは当然です。

しかし、退職金は法律で全ての会社に支給が義務付けられているわけではありません。そのため、「長年勤めたから必ずもらえる」とは限らないのが現実です。

この記事では、退職金の支給義務の有無、支給されない場合に確認すべきこと、会社に抗議する際の注意点、そして相談できる専門機関について詳しく解説していきます。「もしかしたら、私も退職金が出ないかもしれない」と感じている方や、実際に退職金が支給されずに困っている方は、ぜひ最後まで読んで、ご自身の状況を整理し、取るべき行動を検討してみてください。

目次

え、退職金なし?退職金の支給義務と法的根拠

まず、誤解を避けるために、退職金の支給義務と法的根拠について明確にしておきましょう。

結論から言うと、**現時点の日本の法律(労働基準法など)では、会社に対して退職金の支払いを義務付ける明確な規定はありません。**つまり、法律上は、退職金制度を設けるかどうか、設ける場合にどのような条件で支給するかは、各会社の裁量に委ねられているのです。

そのため、「長年勤めた」という事実だけでは、当然に退職金を受け取る権利が発生するわけではありません。

ただし、多くの会社では、従業員の長年の功労に報いるため、また、退職後の生活保障の一助とするために、就業規則や労働協約において退職金制度を設けています。もしあなたの会社に退職金制度がある場合、その制度に基づいて退職金が支給されることになります。

したがって、退職金が支給されるかどうかを確認する最初のステップは、あなたの会社の就業規則や労働協約に退職金に関する規定が存在するかどうかを確認することです。これらの規定が存在すれば、その内容に基づいて退職金の支給条件や計算方法などが定められているはずです。

もし、就業規則や労働協約に退職金に関する規定が一切存在しない場合、残念ながら会社に退職金の支払いを強制することは難しいと言わざるを得ません。

まずは就業規則をチェック!退職金に関する重要条項

退職金制度が就業規則や労働協約に定められている場合、その内容を詳細に確認することが非常に重要です。退職金の支給条件や計算方法、支払い時期などが具体的に記載されているはずです。

特に、以下の点に注目して確認しましょう。

  • 退職金の支給条件: 勤続年数、退職理由(自己都合、会社都合、定年など)、退職時の役職などが支給条件として定められているか。
  • 退職金の計算方法: 基本給に勤続年数や役職に応じた支給率を掛ける方式、ポイント制、一時金方式、年金方式など、具体的な計算方法が明記されているか。
  • 退職金の支払い時期と方法: 退職後いつ、どのような方法(銀行振込など)で支払われるかが記載されているか。
  • 退職金の減額や不支給に関する規定: 懲戒解雇の場合や、一定の要件を満たさない自己都合退職の場合などに、退職金が減額されたり、支給されなかったりするケースが定められているか。
  • 退職金制度の変更に関する規定: 会社が退職金制度を変更する場合の手続きや、従業員への告知方法などが定められているか。

これらの条項をしっかりと確認することで、「なぜ退職金が支給されないのか」という疑問に対する答えが見つかるかもしれません。例えば、勤続年数が支給条件に満たない場合や、就業規則で不支給となる退職理由に該当する場合などが考えられます。

就業規則は、従業員であれば誰でも閲覧できるはずです。人事担当部署に確認するか、社内ネットワークなどで公開されている場合は、そちらを確認しましょう。もし就業規則が見当たらない場合は、会社に開示を求めることができます。

支給条件を満たしているか?勤続年数や退職理由を確認

就業規則に退職金制度の定めがある場合、次に確認すべきは、あなたがその支給条件を満たしているかどうかです。

勤続年数: 多くの会社では、退職金の支給に最低限の勤続年数を設けています。例えば、「3年以上勤務した者に支給する」といった規定がある場合、あなたの勤続年数がこれに満たない場合は、退職金が支給されない可能性があります。

退職理由: 退職理由も、退職金の支給額や支給の有無に影響を与えることがあります。一般的に、会社都合退職(倒産、解雇など)の場合は、自己都合退職よりも有利な条件で退職金が支給されることが多いです。懲戒解雇の場合は、退職金が減額されたり、支給されなかったりするケースが多く見られます。

あなたの退職理由が、就業規則のどの区分に該当するのか、そしてそれによって退職金の取り扱いがどのように定められているのかを確認することが重要です。

もし、あなたの認識している退職理由と、会社が認識している退職理由が異なる場合は、その点について会社と話し合う必要があります。例えば、パワハラやセクハラなどが原因で退職せざるを得なかった場合、自己都合退職ではなく会社都合退職として扱われるべきだと主張できる可能性もあります。

抗議は有効?会社と交渉する際のポイントと注意点

もし、就業規則の支給条件を満たしているにも関わらず退職金が支給されない場合や、支給額に納得がいかない場合は、会社に抗議し、交渉することも検討する価値があります。

交渉する際のポイント:

  • 根拠を明確にする: なぜ退職金が支給されるべきだと考えるのか、就業規則のどの条項に基づいて主張するのかなど、具体的な根拠を明確に伝えましょう。
  • 感情的にならない: 感情的に訴えるのではなく、冷静かつ論理的に話し合いを進めることが重要です。
  • 記録を残す: 交渉の経緯や会社とのやり取りは、日付、時間、担当者、内容などを詳細に記録しておきましょう。
  • 証拠を集める: 勤続年数を証明する書類(雇用契約書、給与明細など)、退職理由を裏付ける証拠(パワハラの記録、医師の診断書など)など、交渉を有利に進めるための証拠を集めておきましょう。
  • 譲歩案も検討する: 必ずしも満額支給にこだわらず、双方が納得できる落としどころを探ることも視野に入れましょう。

交渉する際の注意点:

  • 一方的な主張は避ける: 会社の言い分にも耳を傾け、双方の認識のずれを解消するように努めましょう。
  • 高圧的な態度を取らない: 高圧的な態度や脅迫的な言動は、事態を悪化させる可能性があります。
  • 法的な知識を鵜呑みにしない: インターネット上の情報や個人の意見を鵜呑みにせず、必要に応じて専門家に相談しましょう。
  • 交渉の長期化も覚悟する: 問題解決には時間がかかる場合もあります。根気強く交渉を続ける覚悟が必要です。

抗議や交渉によって、会社の誤解が解けたり、再検討を促したりできる可能性はあります。しかし、最終的に会社の判断が変わらない場合もあることを理解しておく必要があります。

泣き寝入りは禁物!相談できる専門機関と手続き

会社との交渉がうまくいかない場合や、法的な判断が必要となる場合は、泣き寝入りせずに専門機関に相談することを検討しましょう。

  • 労働基準監督署: 会社が労働基準法や関連法規に違反している疑いがある場合(例えば、就業規則に定められた退職金を支払わないなど)に相談できます。労働基準監督署は、会社に対して指導や是正勧告を行うことがあります。
  • 弁護士: 法的なアドバイスや交渉の代理、訴訟手続きなどを依頼することができます。特に、退職金の請求権を法的に主張したい場合に有効です。
  • 労働組合: 会社に労働組合がある場合は、労働組合に相談してみるのも有効な手段です。労働組合は、労働者の権利を守るための団体であり、会社との団体交渉をサポートしてくれることがあります。
  • 法テラス(日本司法支援センター): 経済的に余裕のない方でも、弁護士などの法律専門家に無料で相談できる窓口を紹介してくれます。

これらの専門機関では、あなたの状況を丁寧にヒアリングし、適切なアドバイスや情報提供を行ってくれます。一人で悩まず、まずは相談してみることで、解決への道が開ける可能性があります。相談する際には、これまでの経緯や関連書類(就業規則、雇用契約書、給与明細、退職証明書など)を整理して持参すると、スムーズに相談が進められます。

退職金が出ないケースも?例外と確認すべき事項

長年勤めたとしても、会社の就業規則や個別の状況によっては、退職金が支給されないケースも存在します。以下のようなケースが考えられます。

  • 就業規則に退職金制度がない: 前述の通り、法律で退職金の支払いが義務付けられているわけではないため、そもそも就業規則に退職金制度がない場合は、支給されません。
  • 支給条件を満たさない: 勤続年数が不足している、就業規則で不支給となる退職理由に該当するなどの場合、支給されないことがあります。
  • 懲戒解雇: 多くの会社では、懲戒解雇となった従業員に対しては、退職金を減額または不支給とする規定を設けています。
  • 中小企業退職金共済などの外部積立制度: 会社が退職金を直接積み立てるのではなく、中小企業退職金共済などの外部の制度に加入している場合、加入期間や掛け金の状況によっては、期待した金額が支給されないことがあります。
  • 退職金制度の変更: 過去に退職金制度が変更され、変更後の制度があなたに適用される場合、変更前の制度に基づいて期待していた金額が支給されないことがあります。

これらの例外的なケースに該当するかどうかをしっかりと確認することが、無用な期待や落胆を避けるために重要です。

将来のために!退職金制度がない場合の備え

今回のケースのように、長年勤めた会社に退職金制度がなかったり、支給額が期待よりも少なかったりする場合に備えて、将来の生活設計を早めに考えておくことが重要です。

  • 自助努力による貯蓄: 会社の退職金に頼るだけでなく、個人で積極的に貯蓄を行うことが大切です。
  • iDeCo(個人型確定拠出年金)やNISA(少額投資非課税制度)の活用: 税制優遇を受けながら、老後資金を形成できる制度を積極的に活用しましょう。
  • 資産運用: 預貯金だけでなく、投資信託や株式など、 다양한 な資産運用を検討することも有効です。ただし、リスク管理はしっかりと行いましょう。
  • ライフプランニング: 退職後の生活に必要な資金を試算し、目標額に向けて計画的に準備を進めましょう。

会社によっては、退職金制度がない代わりに、確定拠出年金制度を導入している場合もあります。これらの制度についても理解を深め、自身の将来設計に役立てることが重要です。

まとめ

長年勤めた会社で退職金が支給されない場合、まず確認すべきは就業規則の退職金に関する規定です。退職金の支給は法律で義務付けられているわけではなく、会社の規定に基づいて行われます。支給条件、計算方法、支払い時期、そして退職理由による取り扱いなどを詳細に確認しましょう。

支給条件を満たしているにも関わらず退職金が支給されない場合や、支給額に納得がいかない場合は、会社に根拠を示して冷静に交渉することが重要です。交渉の際には、感情的にならず、記録や証拠を保持し、必要に応じて譲歩案も検討しましょう。

もし会社との交渉が難航する場合は、労働基準監督署、弁護士、労働組合、法テラスなどの専門機関に相談することを検討してください。これらの機関は、法的アドバイスや会社との交渉サポート、是正措置などを行ってくれる可能性があります。泣き寝入りせずに、自身の状況に応じた適切な行動を取ることが大切です。

ただし、就業規則に退職金制度がない場合や、支給条件を満たさない場合、懲戒解雇された場合など、例外的に退職金が支給されないケースも存在します。これらの可能性も考慮し、会社の制度や自身の状況を正確に理解することが重要です。

将来のために、会社の退職金制度の有無や支給額に過度に依存せず、自助努力による貯蓄や資産形成も積極的に行うことが賢明です。iDeCoやNISAなどの制度を活用し、退職後の生活に備えましょう。退職金に関する疑問や不安を放置せず、積極的に情報収集と確認を行い、納得のいく形で新たなスタートを切れるように行動することが大切です。

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