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Q31 「辞めたい」と申し入れたら、休職を勧められた。休職とは?

「会社を辞めたいんです…」

意を決して上司に退職の意思を伝えたところ、予想外の言葉が返ってきた。「そうですか…。もし何か理由があるなら、一度休職という形を考えてみませんか?」

突然の「休職」という提案に、あなたは戸惑いを覚えたかもしれません。「休職って、ただ休むこと?」「会社はなぜ私に休職を勧めるんだろう?」「退職と何が違うの?」と、様々な疑問が頭を駆け巡ることでしょう。

休職は、労働者が会社との雇用契約を維持したまま、一定期間労働義務を免除される制度です。会社が休職を勧める背景には、従業員の状況を考慮し、退職以外の選択肢を提供することで、離職を防ぎたいという意図があると考えられます。

この記事では、休職とはどのような制度なのか、その種類や期間、給与の有無、そして休職を勧められた際に、退職と比較してどのような点を考慮すべきかについて詳しく解説していきます。もしあなたが今、会社から休職を勧められ、その選択に悩んでいるなら、この記事があなたの判断の一助となるはずです。

目次

「辞めたい」への別提案?会社が休職を勧める理由

会社が従業員に退職ではなく休職を勧めるのには、いくつかの理由が考えられます。

  • 従業員の慰留: 会社は、長年貢献してきた従業員や、重要なスキルを持つ従業員の離職をできる限り避けたいと考えています。一時的な休職によって、従業員の気持ちが変化し、復職してくれることを期待している場合があります。
  • 従業員の心身の状況への配慮: 退職を申し出る理由が、心身の不調によるものである場合、会社はまず休職によって療養に専念し、回復後に改めてキャリアについて考える機会を提供したいと考えている可能性があります。
  • 退職手続きの遅延: 会社側の都合により、すぐに退職の手続きを進めることが難しい場合、一時的に休職という形を取ることがあります。
  • 人員補充の猶予: 退職者の後任を見つけるまでに時間がかかる場合、休職という形にすることで、人員が一時的に欠ける状況を避けることができます。
  • 解雇回避: 従業員の能力不足や問題行動を理由に退職勧奨を行っている場合、解雇という強硬手段を避けるために、まずは休職を提案することがあります(この場合は、懲戒休職の可能性も考慮する必要があります)。

会社が休職を勧める理由を理解することは、その提案を受け入れるかどうかを判断する上で重要な要素となります。

休職の基本!どんな制度?給与や期間はどうなる?

休職は、法律で義務付けられた制度ではなく、各企業の就業規則や労働協約に基づいて定められています。そのため、休職の種類、期間、給与の有無などの条件は、会社によって大きく異なります。

休職の基本的な内容:

  • 雇用契約の維持: 休職期間中も、従業員は会社との雇用契約を維持したままとなります。ただし、労働義務は免除されます。
  • 労働義務の免除: 休職期間中は、原則として業務を行う必要はありません。
  • 復職の可能性: 休職は一時的な措置であり、休職期間満了後には原則として元の部署や職務に復職することが前提とされます。ただし、休職理由や会社の状況によっては、復職が難しい場合もあります。

給与の取り扱い:

休職期間中の給与の取り扱いは、会社によって大きく異なります。

  • 無給: 多くの会社では、休職期間中は給与が支払われません。
  • 一部支給: 一部の会社では、休職期間中に基本給の一部や手当などが支給される場合があります。
  • 傷病手当金: 傷病休職の場合、健康保険から傷病手当金が支給される可能性があります(一定の条件を満たす必要があります)。

休職期間:

休職期間も会社によって異なりますが、一般的には数ヶ月から1年程度に設定されていることが多いです。休職理由によって期間が異なる場合もあります(例:傷病休職は療養に必要な期間、自己都合休職は〇ヶ月以内など)。また、休職期間の延長が認められる場合もありますが、会社の判断によります。

休職を検討する際には、自社の就業規則や人事担当者に、休職の種類、期間、給与の有無、復職の条件などを詳しく確認することが不可欠です。

休職の種類を知る!傷病、自己都合、懲戒…その違い

休職には、その理由によっていくつかの種類があります。主なものとしては、以下のものが挙げられます。

  • 傷病休職: 業務内外の病気やケガにより、長期間の休養が必要な場合に認められる休職です。医師の診断書などの提出が必要となるのが一般的です。休職期間は、療養に必要な期間に応じて決定されます。
  • 自己都合休職: 個人的な理由(留学、ボランティア活動、家族の介護など)により、従業員が希望して認められる休職です。傷病休職に比べて、休職期間が短く設定されていることが多いです。
  • 事故欠勤休職: 正当な理由なく長期間欠勤した場合に、会社が懲戒処分としてではなく、再就業の機会を与えるために命じる休職です。
  • 起訴休職: 従業員が刑事事件で起訴された場合に、裁判期間中などに業務への支障を考慮して命じられる休職です。
  • 懲戒休職: 従業員の不正行為や服務規律違反に対する懲戒処分として命じられる休職です。この場合は、無給となるのが一般的で、休職期間も比較的短期間です。

会社から勧められた休職が、これらのどの種類に該当するのか、その理由を明確に確認することが重要です。特に、懲戒休職を勧められている場合は、その理由となった行為や会社の認識について、しっかりと話し合う必要があります。

休職のメリット・デメリットを冷静に比較検討

退職ではなく休職を選ぶことには、メリットとデメリットの両方があります。自身の状況や希望と照らし合わせて、冷静に比較検討することが重要です。

休職のメリット:

  • 雇用関係の維持: 退職せずに雇用関係を維持できるため、復職の道が残されます。
  • 社会保険の継続: 休職期間中も、会社の社会保険(健康保険、厚生年金など)に加入し続けることができます(ただし、保険料の負担方法については会社によって異なります)。
  • 傷病手当金の受給可能性: 傷病休職の場合、健康保険から傷病手当金が支給される可能性があります。
  • 退職金の温存: 退職した場合に支払われる退職金は、休職中は支払われませんが、復職後に勤続年数が加算される可能性があります。
  • 再就職活動の猶予: 心身の不調が理由で退職を考えている場合、休職によって療養に専念し、回復後に落ち着いて再就職活動を行うことができます。
  • 会社への帰属意識の維持: まだ会社への愛着がある場合、休職によって会社との繋がりを保ちながら、今後のキャリアについて考えることができます。

休職のデメリット:

  • 収入の減少または途絶: 多くの会社で、休職期間中は給与が支払われないため、収入が大幅に減少したり、途絶えたりする可能性があります。
  • キャリアの中断: 休職期間中は、キャリアが一時的に中断することになります。
  • 復職の保証がない: 休職期間満了後に、必ずしも元の部署や職務に復職できるとは限りません。会社の状況や本人の回復状況によっては、配置転換や退職を勧められる可能性もあります。
  • 休職期間の長期化による不安: 休職期間が長期にわたる場合、将来に対する不安が増大する可能性があります。
  • 周囲の目: 職場によっては、休職することに対して周囲の目が気になる場合があるかもしれません。
  • 退職金の早期受け取りができない: 退職した場合にすぐに受け取れる退職金は、休職中は受け取ることができません。

これらのメリットとデメリットを十分に理解した上で、休職という選択肢が自分にとって本当に適切かどうかを慎重に判断する必要があります。

休職を勧められたら?判断するための確認ポイント

会社から休職を勧められた場合、その場で即答するのではなく、以下の点について会社に詳しく確認し、検討する時間をもらいましょう。

  • 休職の種類と理由: 会社はなぜあなたに休職を勧めているのか、その具体的な理由と休職の種類(傷病休職、自己都合休職など)を確認しましょう。
  • 休職期間: 休職期間はどのくらいになるのか、延長は可能なのかを確認しましょう。
  • 給与の有無: 休職期間中の給与の取り扱い(無給、一部支給など)を確認しましょう。傷病休職の場合は、傷病手当金の申請についても確認しましょう。
  • 社会保険の取り扱い: 休職期間中の社会保険(健康保険、厚生年金など)の加入状況と保険料の負担方法を確認しましょう。
  • 復職の条件と可能性: 休職期間満了後の復職の条件、元の部署や職務への復帰が可能かどうか、配置転換の可能性などについて確認しましょう。
  • 休職中の待遇: 休職中の連絡方法、会社への報告義務の有無などを確認しましょう。
  • 退職の意思の再確認: あなたが本当に退職を希望しているのか、会社はあなたの意思を尊重する姿勢があるかを確認しましょう。

これらの確認ポイントを踏まえ、自身の状況(退職を希望する理由、経済状況、将来のキャリアプランなど)と照らし合わせながら、休職という選択肢が自分にとって最善の道かどうかを慎重に検討することが重要です。

休職を選ぶ?退職を選ぶ?後悔しないための決断

休職と退職のどちらを選ぶかは、あなたの個々の状況や希望によって異なります。後悔しない決断をするために、以下の点を考慮しましょう。

  • 退職理由の明確化: なぜあなたは会社を辞めたいと思っているのか、その根本的な理由を深く掘り下げて考えてみましょう。その理由が、一時的な休職で解決できるものなのかどうかを検討します。
  • 心身の状況: もし心身の不調が退職理由である場合、まずは休職して療養に専念することが、長期的なキャリアにとってプラスになる可能性もあります。
  • 経済状況: 休職期間中の収入が途絶える、または大幅に減少することを考慮し、生活設計に支障がないか慎重に検討しましょう。
  • 将来のキャリアプラン: 退職してすぐに新しいキャリアに挑戦したいという明確な目標がある場合は、休職がその機会を遅らせる可能性も考慮する必要があります。
  • 会社の状況と将来性: 会社の経営状況や将来性に不安を感じていることが退職理由である場合、休職しても根本的な問題は解決しないかもしれません。
  • 周囲の意見: 家族や信頼できる友人、キャリアカウンセラーなどの意見も参考にしながら、客観的な視点を持つように努めましょう。
  • 時間的な猶予: 会社が休職を勧めてくれているのであれば、すぐに結論を出す必要はありません。十分に検討する時間をもらい、後悔のない選択をしましょう。

最終的には、これらの要素を総合的に考慮し、自分にとって何が最も重要なのかを見極めた上で、休職または退職の決断を下すことが大切です。

もし休職する場合!手続きの流れと注意すべきこと

もし休職という選択をする場合、会社が定める手続きに従って休職の手続きを進める必要があります。

一般的な休職手続きの流れ:

  1. 休職願の提出: 会社所定の休職願に必要事項を記入し、提出します。傷病休職の場合は、医師の診断書の添付が必要となるのが一般的です。
  2. 会社による承認: 提出された休職願が会社によって承認されます。
  3. 休職開始: 承認された休職期間に入ります。
  4. 休職中の状況報告: 会社から定期的な状況報告を求められる場合があります。傷病休職の場合は、定期的な医師の診断書の提出が必要となることがあります。
  5. 復職の手続き: 休職期間満了前に復職を希望する場合は、会社所定の復職願を提出します。傷病休職の場合は、復職可能であるという医師の診断書の提出が必要となるのが一般的です。
  6. 復職: 会社が復職を承認した場合、元の部署や職務に復職します。

休職する際の注意点:

  • 就業規則の確認: 休職に関する規定(種類、期間、給与、手続き、復職条件など)を必ず確認しましょう。
  • 傷病手当金の申請: 傷病休職の場合は、健康保険に傷病手当金の申請手続きを行いましょう。
  • 会社との連絡: 休職中も、会社との適切なコミュニケーションを保つように心がけましょう。
  • 復職への準備: 休職期間中に、復職に向けて心身の状態を整えるとともに、業務に関する情報収集なども行っておくと、スムーズな復職につながります。
  • 休職期間満了後の選択肢: 休職期間満了時に、必ずしも復職しなければならないわけではありません。体調が回復しない場合や、退職の意思が変わらない場合は、改めて会社と退職について話し合うことも可能です。

休職は、退職という決断を先送りし、再考するための時間を与えてくれる制度です。もし休職を選ぶのであれば、その期間を有効活用し、今後のキャリアについてじっくりと考えることが大切です。

まとめ

今回の記事では、「辞めたい」と申し入れた際に会社から勧められた「休職」について、その制度内容、種類、メリット・デメリット、判断のポイント、そして手続きの流れと注意点について詳しく解説しました。休職は、退職という選択肢と並んで、あなたのキャリアを考える上で重要な選択肢の一つです。この記事を参考に、ご自身の状況をしっかりと見つめ、後悔のない決断をしてください。

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